« So Beautiful Or So What /Paul Simon | トップページ | SII 電子辞書 PASORAMA 英語学習モデル SR-S9002 セイコーインスツル »

2011年5月18日 (水曜日)

スコット・ラファロ その生涯と音楽/ヘレン・ラファロ・フェルナンデス

スコット・ラファロ その生涯と音楽
ヘレン・ラファロ・フェルナンデス

世に天才は数多くいるけれど、しかし、この人がここまで天才であったことは(そして同時に努力家であったことは)、この本を読むまでは知らなかった。

ジャズの名盤として名高い、ビル・エバンスのワルツ・フォー・デビイ。この中で実に独創的なベースプレイで、その後のジャズシーンに多大な影響を与えたベーシストのスコット・ラファロ。
今でも、ジャズにおける偉大なるベーシストとして、5本の指に入るのではないだろうか?

本書は、そのスコット・ラファロの妹である著者が、当時の思い出と、彼に関わった多くのミュージシャンたちの証言を交えて、スコット・ラファロという人物を描き出していく構成。

いや、それにしても、非凡なる演奏であることは知っていたけれど、彼が実際にベースを弾き始めたのは18歳の頃(それ以前は、クラリネット奏者だった)、それも、音楽大学に入学する際に、弦楽器を何か1つ選択する必要があり、その中でベースを選んだというのが、ベースを弾き始めた切っ掛けであったこと。しかもその2年後には、プロとして活動を始めていたこと。
彼の実際の活動期間は、25歳で自動車事故で亡くなるまでの、実質7年足らずであったこと。
亡くなる直前まで、毎日6時間~12時間練習に明け暮れるほどの努力家であったこと。
ドラッグを激しく嫌い、ビル・エヴァンスに対しても、彼の才能を惜しみ、薬物使用について忠告をしていたこと、等など。

Wikipediaの記述を見るに、逆にドラッグ常習者で、粗暴なひとのように書かれていたけれど、この書籍を読むに、(仲の良かった妹からの視点という分を差し引いても)、この人の人物評については、いま少し、再考の余地があるのではないかな?と思わされます。

それにしても、プロとしての実質の活動期間が5年足らず。ある日、突然に現れ、生き急ぐかのように忽然と消えてしまった天才奏者。文中でもインタビューを受けた多くの演奏家たちが述べているように、あのまま活動をあとせめて5年でも続けられれば、どこまでの高みに上り詰めていたのだろうか?と、誰しもが考えてしまう。

死後、50年が経過したあとで、ようやくこの人の、本当の生身の姿を知るという点で、貴重な翻訳本だと思えます。

なお、後半部で語られる彼の音楽や奏法に関する解説記事部は、貴重な文献であり、これまでの翻訳物では、意外にも割愛されがちな部分。
これらの部分も、キチンと含めて翻訳し出版したことは、英断だと思われます。素晴らしい。

|

« So Beautiful Or So What /Paul Simon | トップページ | SII 電子辞書 PASORAMA 英語学習モデル SR-S9002 セイコーインスツル »

読んだ本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/25669/51705740

この記事へのトラックバック一覧です: スコット・ラファロ その生涯と音楽/ヘレン・ラファロ・フェルナンデス:

« So Beautiful Or So What /Paul Simon | トップページ | SII 電子辞書 PASORAMA 英語学習モデル SR-S9002 セイコーインスツル »