« North Marine Drive ベン・ワット | トップページ | スコット・ラファロ その生涯と音楽/ヘレン・ラファロ・フェルナンデス »

2011年4月26日 (火曜日)

So Beautiful Or So What /Paul Simon

So Beautiful Or So What
ポール・サイモン

人間誰しも、年を取っていくものである。それは分かっているのだが、ここ数年のポール・サイモンとアート・ガーファンクルの老けっぷりには、個人的に驚かされた。インタビューを受けている姿を見ていると、本当に腰の曲がったタダの老人でしかない。

今回の新作、果たしてどうだろう?もうタダの一人の老人の回顧アルバムみたいだったら嫌だな、と思いつつ、恐る恐る聞いてみたが、いやはや、音楽の持つものすごさ、まさにマジックとしか言いようのない説明不能のパワーを感じさせられた。
一言でいえば、「こりゃすごい」である。率直に言えば、「これ、例のグレイスランドの次作と言われても分からない」ということだ。グレイスランドで随分叩かれたが(そして叩かれるだけの素晴らしさと、それだけのセールスがあったことも事実だ)、特定の音楽フォーマットを借り受けて、そのテイストの中で(比較的)抑揚の少ない彼独特のメロディラインを展開させるのが、言ってみればこの人の得意技である。それを心無い人は剽窃だとかパクリだとか言うが、いやいや、この人の場合は、(多少の消化力の悪さはあるが)とりあえず、一見食え無さそうなものまでも、自分の中に取り込んで、仮にそれが未消化であっても、自分なりの形に強引に変えてみせる貪欲さがあるだけだと思う。

そして最早、ここまでのネームバリューの高さからすれば、もうそうした未消化加減が、どうでも良いほどに、逆にそうした部分がこの人の持ち味になっているような気さえする。

個人的なベストテイクは、"Rewrite"と、"Love & Blessings"。
オープニングの、「あれ?これ?このまま行ったら、ちょっとマズイんじゃない?ケープマンの失敗をここでも?」と一瞬、ひやりとさせられたが、いやいや、その後の持ち直しぶりはたいしたものです。飄々としながらも力強く(実際、往年とほとんど変わらない歌声)、メロディもほろりとさせられたり、ニヤリとさせられたり。
すごいなあ、あと2、3枚はいけるんじゃないの?、いや本当に、そう思わさせられました。やっぱりすごいわ、この人。


|

« North Marine Drive ベン・ワット | トップページ | スコット・ラファロ その生涯と音楽/ヘレン・ラファロ・フェルナンデス »

聴いた音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/25669/51498020

この記事へのトラックバック一覧です: So Beautiful Or So What /Paul Simon:

« North Marine Drive ベン・ワット | トップページ | スコット・ラファロ その生涯と音楽/ヘレン・ラファロ・フェルナンデス »