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2011年3月 8日 (火曜日)

ねむり/村上 春樹

ねむり
村上 春樹

ドイツ・デュモン社がドイツ本国にて発行した書籍をベースに、日本語化されたもの。
カット・メンシックというイラストレーターの挿絵が、かなり大きな比重を占めた作品。
日本語での出版に際し、全面的な改稿がなされ、もともとの「眠り」というタイトルから、今回は「ねむり」に変更されている。オリジナルテキストは「TVピープル」に収録。

思えば、この「TVピープル」という作品集も、村上春樹の作風が変わる一つの切っ掛けとなった作品集だったように思える。作者自身も本書のあとがきの中で、しばらく(1年ほど)の間、小説を書こうという気になれず、長い中断期間の後、「眠り」と「TVピープル」を書き上げることが出来たと述懐している。

全く眠ることが出来なくなった主婦の話。実に奇妙な話で、そしてラストの展開も含めて、実に怖い話だ。
少しずつ崩壊していく日常と、最後にカットインのように差し込まれる暴力の影が、読後に非常に重たいものを残してくれる。
イラストレーションについてはどうだろう?確かに面白い作風ではあるし、本文中の妙なざらざらとした手触りを上手く表現はしていると思う。ただ、今の時点では「面白い試みではある」というレベルを脱していないようにも思える。
仮にこうした「イラストレーションと一つの短編」という作りがシリーズ化したとしても、それほど熱心に買い求めることはないように思える。まあこの辺りは各自の判断が必要だろうけれど。


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コメント

眠りは、あまりにも強烈に脳内再生されるので、気軽には読み返せません。ラストシーンは何度も夢にでます。
嫌いではなくて、好きな作品なのですが、怖いのです。
沈黙と眠りの2短編は、パンチ力が強いです。
改稿は気になるものの、ねむりはスルーしておきました。わざわざパンチをくらいにいくのも…ね…。

投稿: まゆ | 2011年3月 8日 (火曜日) 23時34分

まゆさん

この話は本当に怖いですよね。主人公の心が少しずつ何かに蝕まれていく様子や、ラストでの突然の暴力の介入、いやいや、本当に久しぶりに読みましたが、やはり怖いです。
沈黙もおっしゃるように怖い作品ですね。あれは人の悪意がメインのように思えます。いずれもホラー的な怖さではないところで、再読を渋ってしまう作品ですね。

投稿: asaden | 2011年3月 9日 (水曜日) 02時45分

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