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2011年2月 8日 (火曜日)

夏目家順路/朝倉 かすみ

夏目家順路
朝倉 かすみ

おかしなタイトルの小説だな?と思って読み始めましたが、これはお葬式の話。
(タイトルは葬儀会場への案内の張り紙のことですね)

昭和10年生まれのある老人の回想から始まり、彼がある日、亡くなったところから、残された家族が葬式の手配を始めるところで、序盤が終了する。

最初の回想が亡くなる老人の視点から、その後、各章ごとに彼の娘の視点、その夫の視点、彼の息子の視点、その息子の長女(中学生)の視点と、それぞれの立場で、いろいろな角度から葬式という非現実的なイベントが語られる。また、それぞれの立場から見るそれぞれの人物像と、実際にその本人から見たそれぞれの意見が、めまぐるしく話を進めていく。

ある意味で、葬式を行うということ以外に、何も事件めいたことは起こらない。
ただ、家族や夫婦という、構成グループの不思議さや、そうしたグループに長くいたために歪んでしまった視点など(亡くなった老人の同い年の甥の家族は、かなり歪んだ視点の持ち主たちだが、本人たちは気づいていない)、いろいろと考えさせられるシーンが多い。

伊丹十三監督の「お葬式」という映画があったが、あれの小説版と考えれば分かりやすいかもしれないが、小説である分、各登場人物の心理から世界が見えるため、映画とはまたかなり違った切り口となっている。

葬式を執り行う側の奇妙な緊張感と、非日常性を、読んでいてリアルに思い出させる良作です。


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