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2011年2月 1日 (火曜日)

流跡/朝吹 真理子

流跡
朝吹 真理子

芥川賞受賞作家のデビュー作。

芥川賞の候補になった時点で、「確実にこの人が取るだろう」という各地での評判を聞き、早々とこの書籍入手していたが、いやはや、個人的には「難解」の一語。

生者と死者の間の境界を縫うように、いろいろな人物の間を視点が移り変わっていく。

夜の川で渡し舟のようなものに乗る男。生きている意味も分からず、何故自分がここにいるのかも分からない(この感慨はその後の全ての登場人物に共通する)。入ってはいけない川筋に入り込み、生きているのか死んでしまったのか、自分ですら分からなくなったところで、なんの関連も無く場面が変わり、妻と子供を持つ幻視がちの会社員の男へと話が突然切り替わる。雨のたびに幻の煙突を視界に認め、それに憑かれたように惹かれていく男の話。この話も、男がある雨の日に煙突の間近までたどり着いたところで、突然話がカットオフする。以下、主人公の視点は旅先の島で突然意識を取り戻した女性に移っていくが、これらの人物間には、なんら関連性は無い。そのため、何らかのオチを期待して読み進めていくと、小説自体が突然にカットオフし、終了してしまうことで、取り残されたような読後感が襲ってくる。

それにしても難しい。ブンガク的であるのかもしれないが、個人的には、こうした文体に大時代な文学性を感じてしまうし、その辺りの読後感を「あざとい」と感じていしまう人には、我慢のならない作品のようにも思える。
ストーリーだけを追い続けても、取り残されてしまう。しかし登場人物の誰にも感情移入も出来ないし、混在するいくつかのお話に共通のテーマも認められないため、全くなにをどう評価したものか?と思えてくる。

芥川賞を受賞した作品は読んではいないが、この流れの作品なのであれば、評価は真っ二つになるように思える。逆に言えば、この世界観に惚れてしまう人もいるのだろうなあ、と思えます。


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