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2011年2月 6日 (日曜日)

虐殺器官 /伊藤 計劃

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃

「ハーモニー」の圧倒的な読了感に少しあてられてしまったようで、前著にあたるこの「虐殺器官」を手に取るのに時間が掛かりました。
それにしても、なんという世界観。基本的にバックグラウンドに描かれているのは、大量虐殺の現場ばかりで、凄惨極まりないはずなのに、非常にリアルな世界観がそこには描かれていて、怖いほどの現実感を生み出してくれます。

もし、この作品に唯一問題があるとすれば、ラストへの流れと、その流れに至った主人公のこだわりでしょう。残念ながらそのこだわりについて、読者を納得させるほどの理由付けが上手く描けていないように、個人的には思えました。
また、最後のエピローグの中での大きなどんでん返し。それもいま少し、効果が薄かったように思えます。もっとドラマチックに描けたのではないだろうか?と、その点だけは残念です。
(これらの点については、「ハーモニー」では見事に解消していたと思われますし、わずかな修正だけで、日本SF大賞を取ったという点で、この作品の世界観の大きさもわかろうかというものです)

ただ、だからと言って、この作品が「ハーモニー」よりも、ひどく評価が落ちるものではないという点に、注意が必要です。圧倒的な世界観とそれぞれの人物像。実質、デビュー作に近いこの作品でここまで描ききれていた作者の力量には、ただただ、舌を巻きます。

読後の感想は、「惜しいなあ」の一言。
本当にこの才能が、永遠に失われてしまったことが残念です。

もうSF小説なんて、何年も読んでいないなあ、という人にこそ、お勧めです。
(あまりに悲惨なシーンの連続で、映像化は難しそうですしね。小説でこその作品だと思います)


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