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2006年2月10日 (金曜日)

Ryan Adams 再考

coldroses
天才の多くは多忙であり、ワーカホリックである。
それは僕の持論だけれど、ライアン・アダムスの多作ぶりには改めて驚かされた。詳細は、彼の作品を実に丹念に纏め上げたこちらのサイトを見てもらいたいが("http://www.answeringbell.com/"。このサイトのことは130さんに教えていただいた。感謝です)、これだけを見ても未発表のオリジナル曲がゆうに100曲は超えているのではないだろうか。

彼のライブ演奏を丁寧に編集したBedheadというシリーズの音源を聞いていると、("http://bt.etree.org/details.php?id=21806"、シリーズ第5弾の5枚組セット。通し番号にすれば、Vol.15~Vol.19までが収録されている)、既発曲、未発表曲、カバー曲、既発曲の歌詞違い、タイトル違いなどなどが、手を変え品を変えアレンジを変えて演奏されている。まさに目が回るような働き振りである。

そして彼の歌詞を少し時間をかけて読んでいくと、実に女々しくもロマンチックで、それでいて実に詩的な歌詞がゾロゾロと出てくる(そして時に「あれ!」と驚くほど下品な歌詞も書くことが出来る)。この男ときたら、まさに天才的な詩人だ。

今朝も上記のBedheadシリーズ、Vol.16に収録された2005年05月01日の"Meadowlake Street"を聞いていて、なにげなく歌詞カードを眺めていたら、なんといえば言いのだろう?あまりのロマンチックぶりに、まさに打たれてしまった。少しだけ訳してみる。
-----------------------
君にまつわるちょっとした思い出が
あの頃のことをよみがえらせてくれる
悔やむこともユウウツになることも無かったあの頃
桜色の月が僕ら二人を照らしていた
君の姿を照らす星々の一つ一つ
そのすべてを数えるには
僕は月まで一巡り
でも君の元に戻りつくまでに
数え終えることはなかったね

オシマイになった後で
君の中の何かが死んでしまった
人は誰しも泣くことがある
もしも君を愛したことが夢だというのなら
そんな夢は僕にとって重荷に過ぎない
それなのに
どうしていまも君の夢を見るのだろう

君と暮らしたあの家は
メドウレイク通りを下ったところにあった
君が越していったときに
君の名前を刻んだあの楓の木は切り出されてしまった
その木で舟が作られたから
その舟には君の名前を付けたよ
川の水が塩水に変わる辺り
そこは君の涙が海の底に届いた場所だから
そこまでたどり着ければ 君の名を聞けるはず
だから僕は石のように 沈んでいく

オシマイになった後で
君の中の何かが死んでしまった
人は誰しも泣くことがある
もしも君を愛したことが夢だというのなら
そんな夢は僕にとって重荷に過ぎない
それなのに
どうしていまも君の夢を見るのだろう

(「メドウレイク通り」より)
-----------------------
ちなみにBedhead Vol.16では、この"Meadowlake Street"は、別の日(2005年06月16日)の"Wharf Rat"へと実に美しく繋げられている。うーむ、そうくるか。

しばらくは、この男から目が離せなくなってしまった。

そうそう、書き忘れるところだった。
AnsweringBellサイトのトップページには、Phil Leshの言葉が引用されているが、"I feel Jerry close to me whenever I am around Ryan."(ライアンのそばにいるといつも、ジェリーがすぐ間近にいるような気がする)の発言は、音楽家としては最大級の賛辞だと思う。

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聴いた音楽」カテゴリの記事

コメント

いつも物事の上辺だけをとらえて通り過ぎることが多い私ですが、
こうしてちょっと踏み込んで話をしてもらったりすると、
楽しみ方が増えてきます。
いつもありがとうです。


去年の夏、レッドロックスのPhil&Fの時、
開場してお客さんが入っているのに、
ライアンはステージ後ろの岩に座って、
歌詞カードファイル見ながらずっと練習していました。
(そのうちPhilを含むメンバーに見つかってからかわれる。その後そこでみんなで記念写真とってました)

もっと早めに練習しとけよ!なんてのもあるかもしれませんが、
ただただ自信家で横柄なだけの男ではなんだなって感じました。


不思議な人ですね。

投稿: ホソケン | 2006年2月10日 (金曜日) 15時29分

どうも。
で、DEADのカバーも凄く多いですね。
最初、聞いた時の感じが、僕の中では、ジェフ・バックレイか
ニック・ドレイクの感覚に似ていたんです。なんか。
どちらも暗いけど。(そして今はいないし)

投稿: 130 | 2006年2月10日 (金曜日) 19時50分

Cold Rosesが到着しました。
早速、Meadowlake StreetとCold Rosesを聴きました。
良いですねーライアン。NYのステイツアー(?)もやはり参加
しているようですね。kayちゃんがうらやましい。
おまけに、
5-14-05
6-3-05
Bedhead5
DL完了しました。asadenさん効果で時ならぬライアン
マイブーム到来?

P.S.
29について....根拠なくふと思ったのですが、29って年齢かな?
29歳ってある意味、とても不安的な時期ですよね。
以前にアンディウォホールの映画で、29歳の男が主人公のもの
がありました。夢を持って20代を迎え、あっという間に無為に時
を過ごし、30代を迎える寸前。
現実の前に夢が破れ、『オレももうすぐ30代だ。こんなはずじゃ
無かった。何とかしなくちゃ』と、アセりながら、現実は何も変わらず
逆キレしながらハチャメチャをやってしまう男の映画でした。
自分も似たような感覚になった事があります。
でも放っておいても、誰しもが年を取り、29歳が30歳になったところ
で、別に何事も起こらないのですがね。

投稿: ぜっぷ | 2006年2月12日 (日曜日) 05時44分

>>ホソケンさん

そうですか、舞台の後ろで練習してましたか。
まあ、歌詞を覚えるぞという意気込みはプロ意識があって良いですね。

2001年だったかな?エルトン・ジョンとジョイントライブをしていましたが、彼は結構気を使う方なんだなと、変なところで感心してました(笑)。
エルトンの名曲「ダニエル」も歌っていましたが、この男、やっぱり良い声してますね。

>>130さん

>ジェフ・バックレイか
>ニック・ドレイクの感覚に似ていたんです。なんか。

ジェフ・バックレイは一度聞いたけど、どうもピンと来なかったんです。
そうですか、似てるのかな。では名盤と評判高いファースト(「グレイス」でしたっけ?)を聞きなおそうかな。
ニック・ドレイクは良いですよね。基本的には暗くて、ところどころで「あれ?」っていうくらい明るい部分がある。そこが個人的には魅力かな?

>>ぜっぷさん

>NYのステイツアー(?)もやはり参加
>しているようですね。kayちゃんがうらやましい。

kayちゃんの行くところ、ライアンが登場しまくりですね。確かにうらやましい。

>29について....根拠なくふと思ったのですが、29って年齢かな?

どうなんでしょう。タイトル曲の歌詞をざっと読みましたが、今ひとつ29の意味が分からなかったです。でも、彼の曲には(生まれ年の)"1974"という曲があるし、左のうでには「1974」と大きく刺青がしてあるし("Rock N Roll"の裏ジャケにその写真があります)、年齢や生まれた年については、かなりこだわっているようですね。
もう一回、きちんと歌詞カードを眺めてみようっと。

投稿: asaden | 2006年2月12日 (日曜日) 11時15分

はじめまして
kayちゃんホソケンさんと去年コロラドでRyanを目撃したいむやむです。

私もコロラドへ行く前はRyanのことぜんぜん知らなくて予習のつもりで「Cold Roses」買ったもののそれほど聴き込まないで現地へ行ったのですが・・・

Redrocksの「Magnolia Mountain」でノックアウトされてしまい、その日はホテルへ帰るクルマの中でずっと「Cold Roses」を聴いてました。

そういえば、Fillmoreでのライブの最中、私たちの近くにいた女性が「彼って、若い頃のElton Johnに似てない?」としきりに周りの人に同意を求めていました。私はEltonといえばあのハデハデの頃からしか知らなかったので「そっか~?」と内心思ったのですが、その後若き日のEltonの写真を見て「なるほど~」と思ったものです。

ちなみにRyanは1974年11月生まれの31歳です。

投稿: いむやむ | 2006年2月12日 (日曜日) 14時01分

Ryanの年齢の話はasadenさんが書いてましたね。
スミマセン早トチリしました。

投稿: いむやむ | 2006年2月12日 (日曜日) 15時05分

>>いむやむさん

どうもはじめまして。そうですかRedRocksで体験済みですか。
それはうらやましい。

Cold Rosesは僕も買ってすぐに「おおこれは良い」とは思いましたが、その後しばらく聞き込んでいませんでした。最近"29"を買ってから、改めての再評価&マイブーム状態です。

ちなみに、以前のバンドWhiskeytownのラストアルバム、"Pneumonia"も名盤ですので、もし未入手でしたらお勧めします。

>「彼って、若い頃のElton Johnに似てない?」としきりに周りの人に同意を
>求めていました。

へー。しかし太ってからのElton Johnの印象が強すぎるので、そう言われても、すぐに同意できる人は少ないような(笑)。

そういえばファーストソロの"Heartbreaker"発売後(あれ?"Gold"の発売後だったかな?)、その才能に惚れたElton Johnからのラブコールによって、テレビのライブ番組(だと思う)での競演が実現しています。
オフィシャルで発売された様子はありませんが、ネット上では通称"CMT"音源として映像と、コンプリ音源の両方が出回っております。

投稿: asaden | 2006年2月12日 (日曜日) 22時40分

さっきネットで見つけましたが、アルバムタイトルの由来は、すべての曲が作られ、録音されたのが2004年の夏、ライアンが29歳の時だったからだそうです。ぜっぷさん、大正解ですね。

以下のURLをご参照ください。
http://www.ryanadamsarchive.com/bertk/29.htm

投稿: asaden | 2006年2月13日 (月曜日) 17時53分

NYから帰ってきたKAYです。
今回は残念ながら?ライアンは欠席でしたよ。その代わりJoan Osborneが素晴らしい伸びのある声で、RAの歌を沢山歌いました。
もっとデッドの曲を演奏してほしいとファンからは少しブーイングがあがるくらい。。。
フィルはライアンの曲が大好きなのですね。

ライアンの曲はバンドととても合うように思いましたよ。
歌詞を聞かせる歌が多かったのもグッドチョイスでしたし。
Cold Rosesのコーラスはとても美しかった♪

皆がもっとライアンの曲を覚えれば、そのうち大歓迎されるんではないかな~??

投稿: kay | 2006年2月16日 (木曜日) 19時03分

>>kayちゃん

おかえりなさい。kayちゃんのミラクルNY物語を読んでると、感心する以前にもう笑っちゃいますね。「え~、そんなすぐにチケット手に入れちゃうの?」って感じ。

ライアンの曲は良いよね。まあ確かにブーイングする気持ちも分かるし、ライアンが歌うデッドソングは?と聞かれれば、「うーん、やっぱジェリーには勝てない」と率直に思うけど、でも彼の曲や歌詞や歌声にはマジックがありますね。

>皆がもっとライアンの曲を覚えれば

ホントそうですね。ライアンが居なくても、みんなで大合唱というのが、理想ですね。

投稿: asaden | 2006年2月16日 (木曜日) 21時06分

えー、まだライアン結構毎日のように聞いてる僕ですが。
アルバム「Cold Roses」に入ってる、「Rosebud」って曲は「ジェリー・ガルシア」の例の「Rosebud」の事で。ジェリーの事歌ってます。ライブのMCでも、ジェリーの事いってますね。

http://www.dozin.com/jers/guitars/rosebud/rosebud.html

投稿: 130 | 2006年3月 5日 (日曜日) 14時08分

>>130さん

やや、そうでしたか?後で歌詞を読んでみます。これは嬉しいお知らせだ(笑)。

投稿: asaden | 2006年3月 5日 (日曜日) 19時41分

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