Born & Raised/ジョン・メイヤー
Born & Raised
ジョン・メイヤー
John 男前 Mayerの新作。
一聴して気づくのは、カントリーロック、いやフォークロックと言ったほうが収まりが良いくらいのアコースティックな佇まいである。
よもや、この人のアルバムからブルースハープやラップスティールの音色を聴くとは予想もしなかった。しかもオープニングの1曲目からして、いきなりの「自由を求めて西を目指す」、いわゆるゴーウェストソングで幕を開ける。歌詞の中で、ニール・ヤングのアフター・ザ・ゴールド・ラッシュも出てくれば、ジョニ・ミッチェルのブルーアルバムまで出てくるのには、なんだ?一体どうしたの?という感じを受けてしまう。
いや、確かに前作「バトル・スタディーズ」の不毛っぷりには、「怒り」よりも「呆れ」が勝ってしまって、何をどうやったらこんな駄作が出来てしまうのか?と分析する気にもなれなかったくらいなので、ここでこうした「原点回帰」的なアルバムで心機一転、出直しを図ろうとするのも分からないではないけれど.....。
いやいや、でも待って欲しい。そもそもこの人の原点って、こんな音楽スタイルだったっけ?フォークで、アメリカーナで、ニール・ヤングやボブ・ディラン的なものだったっけ?
どうもその点だけが引っかかる。アルバム自体の仕上がりは良い。プロデューサーDon Wasのおかげだろうか。アメリカ本国でのレビューもかなり好意的なものが目に付く。往年のロックファンにも、これならば受け入れられやすいだろう。「彼のキャリアの中で最高傑作」という随分と気の早いレビューまでも目にする始末だ。
でもでも、やはりちょっとだけ何かが気になる。本当にこの方向性の音楽を彼はやりたかったんだっけ?何となくだけど、借り物の衣装を身にまとい、という印象が何処かから匂ってくる。ジョン・メイヤーって、こんなキャラクターじゃなかったよなという気持ちが、聴けば聴くほどに増してくる。
反省したフリのワルガキが書いた反省文、とまで言ったらさすがに言いすぎだろうが、どうもこの人の個性がどこかに埋もれてしまったような気分が、アルバムの所々で見えてしまうのだ。
まあ、「愛とは愛するということ("Love is a Verb")」(拙訳)という毎度のバカバカしいタイトルに、ジョン・メイヤーらしさを感じて、ちょっとだけホッとしている自分は、もしかしたら邪道なファンなのかもしれない。
まあ、前作よりも数段良い仕上がりであることだけは間違いない。実に良く出来たアルバムでファンなら当然のマストバイアイテム。でもね~。う~~~ん(笑)。

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